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「W村上」が作品を通して社会に問う事とは!−−テン年代の今、あえて振り返る90年代

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―本誌ライターの小山内さんによる、コラム「オタク学」。「オタク的な分野×社会学」というテーマのコラム。第26回です。―

2000年から2009年までの10年間は「ゼロ年代」と呼ばれている。2010年からの10年間の名称については、今のところゴロが悪いが「テン年代」が最も使われているだろうか。

2ちゃんねるまとめブログ『VIPPERな俺』(関連サイト参照)では、1980~83年生まれの人たちが、自らの「青春」だった90年代の文化を懐かしんでいるスレッドが紹介されている。確かに、後の時代の立場から90年代を眺めても、本当に様々な変化が起き、80年代バブルの熱狂とは違う「閉塞感」が訪れ始めた時代だったと言える。

そんな90年代に、小説界に現れた新しいスターが、村上龍氏と村上春樹氏のW村上だ。彼らは、何を書き何を社会に問いかけたのか。

■時代の空気を作品で表す作家達 村上春樹にとっての阪神大震災と地下鉄サリン事件

ここでいう「閉塞感」とは、「もう成長は止まった」「何処にも行き場が無い」といった鬱屈した感情で、バブルが弾け、冷戦が終了した頃から、そういった気分が日本中で広がり始める。その結果、それまででは考えられなかった事件や社会現象が起こるようになった、という分析もある。

特に「阪神・淡路大震災」と「オウム真理教による地下鉄サリン事件」が起こった1995年はその象徴だった。小説家・村上春樹さんは、後に阪神・淡路大震災が起きた後の「世界」の変化を描く小説『神の子どもたちはみな踊る』を発表した。

さらに、デビュー当時から「社会派」的な活動領域には慎重に踏み込まないようにしていた春樹さんだが、90年代後半には地下鉄サリン事件の被害者、そしてオウム真理教の元信者にインタビューしたノンフィクション『アンダーグラウンド』『約束された場所で underground2』を発表した。

■9.11以前に「アフガンで戦う日本人ゲリラの青年」を描いた村上龍

現代の日本文学界で春樹さんと双璧をなす作家・村上龍さんは、春樹さんとは対照的に小説・エッセイなどの媒体を問わず、様々な形で社会的な発言や問題提起を行ってきた。その活動の一環が、日本でのインターネット黎明期に創刊されたメールマガジン『JMM』だ。

また、龍さんは2001年9月1日に起きた米国同時多発テロ以前に、事件後アメリカの攻撃対象となったアフガニスタンに注目していた。

龍さんは小説『希望の国のエクソダス』の中で、過去を懐かしむばかりの日本に失望し、日本からのエクソダス(脱出)を試みる中学生たちを描いているが、彼らを含めた日本の子ども達の間で英雄視されているのが、日本人でありながらアフガンでゲリラとして戦っている青年、通称「ナマムギ」だ。

「ナマムギ」は取材に来たメディアに対し、祖国・日本について「あそこは終わった場所だ」とコメントした。その後、日本でエクソダスを試みる子ども達のリーダーである少年が国会で、「この国には何でもある。だが希望だけが無い」という有名な台詞を吐く。

デビュー後30年を超えてもなお精力的な活動を続ける二人の作家が、90年代に日本社会に対して鳴らした「警告」の鐘は今なお鳴り続けている。ただ単に「古きよき時代」を懐かしむだけでなく、今自身が時代に失望なり閉塞感なりを抱いているのなら、何らかの方法で現在の状況からの「エクソダス」を目指すべきではないだろうか。

(小山内)

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(参考リンク)
1980から83年生まれが攻守共に最強

小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kurohige-ossadot/
ツイッターはこちら↓
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